沿革物語

8. Digital Twinにかける夢

LiquidMetalの商品化に成功したあくしゅは、この先一体どこを目指すのだろうか。山崎は、ひとつの目標として「Digital Twin」を掲げた。Digital Twinは、アメリカではすでに広く浸透しているコンセプトだ。デジタルで、3Dグラフィックやプログラミングなどで、ゲームのような架空の工場を作る。そのデジタル上の架空の工場で、ロボットを動かしたり、人の動線をシュミレーションしたりする。そのデジタル上の架空の工場を設計図として、現実世界に工場を建設する。仮想空間のモノや環境から収集したデータを用いて、仮想空間上とまったく同じ環境を現実世界に、まるで双子のように再現するテクノロジーを、Digital Twinという。

山崎はこのDigital Twinのコンセプトは仮想ネットワークでも活用できると考えている。当初のLiquidMetalはでき上がっていたネットワークを対象にしていた。これからのLiquidMetalは、ネットワークを構築する前に使用できるソフトウエアにするつもりだ。まず、Digital Twinとして、仮想ネットワーク上にネットワーク環境をLiquidMetalで整え、十分な検証を行う。その後、現実の物理ネットワークを、Digital Twinのもう片方として構築すべきではないか、というのが山崎の考えだ。

ただ、山崎は一朝一夕に行くとは思っていない。Digital Twinという目標が定まった今は、できるところから一歩一歩確実に階段を上がることを考えている。 今までLiquidMetalはひとつの製品として販売を行ってきたが、Digital Twinという目標をかなえるには、更に多くの機能が必要になってくる。そこでLiquidMetalは大きなくくりの名称とし、その下にLiquidMetal SDN OrganizerやLiquidMetal Inspectorなどの製品群を整えて行こうとしている。

山崎の夢は、国内だけでなく海外でもLiquidMetalを羽ばたかせたいのだ。あくしゅで働く従業員に外国人が多いというのも一つの理由だが、ほとんどの最新デジタル技術が海外からのものなので、日本から先端技術を世界に提供していきたいのだ。

難題に突き当たりながらもひとつひとつの課題をこなし、着実に実績を積み重ねてきたあくしゅ。これからの山崎と小川の活躍には、各方面から期待がかかっている。

創業当時から二人三脚で、ここまで歩いてきた山崎と小川。二人の関係性について山崎は、「小川は稼ぐ人で、自分は無駄遣いをする人」と語る。小川は「山崎は未来を作る人」だよと返す。お互いがそれぞれできることに、一生懸命取り組んできた結果、今があると考えているようだ。異なる良さを持つ二人が、あくしゅのなかで稼ぎ、未来に投資していくなかで、今後はどのような奇跡を起こしていくのだろうか。あくしゅの新たな挑戦はまだまだ続く。